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唐王朝とシルクロード [放送大学]

先日一学期の試験が終わりましたが、試験後に1科目だけ、面接授業。
これが本当に今学期最後。

放送大学では、中央アジア、地中海世界、中国、朝鮮半島、インドといろいろな歴史を勉強しましたが、やはりユーラシア大陸の歴史はダイナミックですね。

講師も熱弁をふるっていて、非常に楽しめました。

タイトルこそ唐王朝とシルクロードとなっていますが、遊牧民の話やソグド人の話が中心になりました。

唐と言えば随に続く中国の統一王朝で、広い版図を持つ世界帝国として知られています。
それまでの中国の伝統だけではなく西方の文化が流入して、生活でも次のような変化が起きました。

・床に座っていたのが、椅子に座るようになった。
・雑穀を食べていたのが、小麦粉を製粉して「麺」を食べるようになった。
・上下に分かれ、ズボンにベルトという服装をするようになった。

唐の首都である長安には多数の外国人がいて、様々な宗教の寺院が並び、イラン系の女性が接待して踊る飲み屋があったと言われています。


では、なぜ、このような世界帝国が成立したのか?

一つは随も唐も、支配層は遊牧民出身だったからということが考えられます。
後世の元がモンゴルの、清が満州族の征服王朝だったということはよく知られていますが、実は随も唐も漢人が支配層ではなかったというのは聞いたことがなかった話です。

随の前の北朝の北魏は遊牧民である鮮卑の拓跋氏が建てた王朝ですが、続く随も唐もその拓跋氏に関連した人たちが建てたと考えられます。系譜操作が行われ、漢人だったような修正が行われています。
このあたりは漢人のアイデンティティにも関わる話なので、日本と中国では見解が異なる部分もあるそうです。

とにかく遊牧民の力は強くて、中国で争っていた複数の王朝はいかに彼らを味方につけるか腐心します。
そうした中国の王朝との接触によって絹を入手できるようになると、東西交易によって力をつけ、突厥という強大な勢力が中国の北方に出現します。

随は突厥に対抗しますが、随の末期になると突厥の力が勝るようになってしまいます。
しかし、その後、唐は突厥の勢力圏をそのまま飲み込んで羈縻支配を行うようになりました。

急に遊牧民を取り込めたのはなぜか?

実は、この時期大寒波が北方を襲い、遊牧民の家畜が多数死んでしまうと言う状況が発生したそうです。
そこで、すでに東西に分かれていた突厥のうち、東突厥が唐に服属します。
すると、この軍事力によって西突厥を服従させ、さらに随の時代から手を焼いていた高句麗を滅ぼすのにも成功します。

遊牧民が力を持ったのは、馬を操る軍事力も大きいですが、東西貿易による富も重要でした。
特に中国の絹を西方に売ることは重要で、そのために中国の絹を欲しがりました。
絹は貨幣のような役割も果たしていたようです。

そして、そうした貿易の実務を独占していたのが、現在はウズベキスタンに相当するソグディアナのソグド人です。
中国の都市にも聚落を作り、政治にも食い込んでいました。
最近では軍事力も持って、中国の唐成立にも深く関わっていたことが分かっています。
ただし、ソグド人という集団は、その後の歴史の中で消えてしまいます。

ただ、東西交易と言っても、ソグディアナから西のことはよく分かっていないようです。
イラン、イスラムといった勢力があったのですが、中国のように何でも記録するという文化ではなかったのか、資料が決定的に不足しているということ。

いずれにせよ、中央アジアの歴史が南部のオアシスと北部の草地の遊牧民の関係で形成されていったのと同様、中国も遊牧民と漢人の南北の相互作用で歴史が強く作られていったということだと思います。
そしてそうしてできた王朝が東西につながり、歴史を紡いでいきます。
ユーラシア大陸、ダイナミックです。

歴史というと古くさくて代わり映えがしないイメージがありますが、世界史=西洋史、中国の歴史=漢人の歴史という固定された見方を見直そうという動きがあります。中立に歴史を見るということがいかに難しいかということも感じます。

参考書として進められた本がいくつかありましたが、一番薄くですぐ読めると言われたのが、これ。

オアシス国家とキャラヴァン交易 (世界史リブレット (62))

オアシス国家とキャラヴァン交易 (世界史リブレット (62))

  • 作者: 荒川 正晴
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本



どこかで見た本だと思ったら、机の上の読んでない本の山の中にあった・・・orz
読んでみたらさらっと読めましたが、ソグド人についてはコンパクトにまとめられていました。

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