SSブログ

西川潤「新・世界経済入門」 [読書(教養書・実用書)]


新・世界経済入門 (岩波新書)

新・世界経済入門 (岩波新書)

  • 作者: 西川 潤
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/04/19
  • メディア: 新書



先日の放送大学の面接授業の参考図書として挙げられた本(の新版)で、通勤の空き時間で読み切り。

新書ではあるものの、これまでの版「世界経済入門」の頃から、教科書に指定されているらしく、すごい本だった。
世界経済(あるいは国際経済)というと、貿易・サービス収支がどうこうとか、資本収支が動向とかIMFの統計を元に論じているというイメージだが、そうしたものはもちろん含んだ上で、地球全体を見渡しての農業やエネルギーのトピックにも触れられていて、世界が、特に90年代以降のグローバル化でどうなっているのかを俯瞰するのにとても良い本。

ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」、ウィリアム・マクニールの「世界史」を読むと、この人は何でこんなにいろいろ知っているんだろうと思うが、この本も同類で、読んでいてとても刺激的だった。

全体として、統計データを豊富に引用していて、数字で語っていくスタイル。

・世界の輸出額は1990年時には3兆5000億ドルが、2000年時には約6兆ドル、2012年には18兆ドル。
・海外直接投資のストック残高も、2000年に8兆ドル、2012年には約24兆ドル。
・世界のGDPは、1990年の約20兆ドルが、2010年に70兆ドル。
・1人あたりGDPをみると、200年時には先進国と途上国は20:1だったのが、2011年には1:10、猛烈に途上国がキャッチアップしている。

観念的に「グローバル化」と言ってしまうが、その実態がいかにすさまじいかがうかがえる。
グローバル化の進展の中で、先進国は軒並み低成長になり、その対策の財政政策によって巨額の財政赤字を生むという、全く打つ手がない状況。

ただし、グラフにすればもっとわかりやすいのにな、と思うところもあり、また、最後は新自由主義の批判とか、原子力ムラの批判、自然エネルギーの礼賛と、言葉の使い方からどうしちゃったんだろうと思うところがあるが、全体としては客観的で説得力がある。
まあ、いろいろな意見に触れることは大事だし。

いずれにせよ、とてもお薦め。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。