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南北アメリカの歴史 [放送大学]

今学期の試験もようやくおしまい。
繁忙期ではないものの、それなりに週末に予定があって、なかなかしんどく感じました。

単位認定試験の1科目目は「南北アメリカの歴史」。

以前に「アメリカの歴史と文化」
http://t-takaya.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02
を受講していたのですが、今回は「南北」です。


以前は漠然と進んでいる欧米(と日本)、それ以外の途上国という単純化した世界観を持っていましたが、それが大きく覆されたのは、ラテンアメリカに旅行してからです。

「同じようにヨーロッパの植民地となって移民を受け入れてから独立したにもかかわらず、中南米はどこで躓いてしまったのか?」
「逆に言えば、北米はなぜこれほど短期間に発展したのか?」


北アメリカの歴史については上述の科目と重複するところもありましたが、今回の授業は南北を交互に歴史を進めていくので、その点において新鮮でした。


人類が当時陸続きだったベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に到達して以降、海で閉ざされた南北アメリカ大陸は旧世界とは異なる独自の発展を遂げます。

ヨーロッパに「発見」された当時、ラテンアメリカには、アステカ王国、インカ帝国という階層化された高度な社会が存在していました。インカ帝国に到っては、文字も車輪も欠いているという旧世界からすればなかなか想像しにくい独自性を持っていたことになります。
その点、北アメリカにはそうした大規模な社会が存在しませんでした。

そのため、ラテンアメリカには、王国が蓄積した貴金属等の富を求めた征服が行われ、征服者による支配もその社会構造を基盤とし、旧来の支配者の代わりにスペイン人が就くというという形態で行われます。
ラテンアメリカ支配で用いられたエンコミエンダという制度は、エンコメンデロという支配者が、先住民の支配を「委託」され、保護とキリスト教化を求められる代わりに、先住民労働徴用権を持つという仕組みです。これは、イベリア半島のレコンキスタで行われた仕組みの延長にあるとされています。

エンコミエンダ制度はスペイン本国の意向もあり、ラテンアメリカ地域毎におかれた副王と、その下に置かれたアウディエンシア(聴許院)、さらに地方官僚コレヒドール、都市ごとの都市参事会(カビルド)という統治形態に移行していきますが、有力者による支配であり、民主的なものとは異なっていました。

スペインの内戦を機にラテンアメリカ諸国は独立しますが、その際に1国では大きすぎ、結局このアウディエンシアの管轄区をもとにした国々に分かれます。


一方、北米では先住民を支配するのではなく、先住民を追い出しながら、移民によってイギリスの植民地が形成されていきます。
イギリスから独立した当時は東部のみの領域を持っていましたが、独立後にフランスやスペインの植民地も吸収して、西へ西へ拡張していき、現在の領域に到ります。この経緯にもヨーロッパでの政治情勢が影響しています。
植民者による民主的な議会が発達していたこともラテンアメリカと異なります。しかし、先住民、連れてこられた奴隷はここに加わることができず、20世紀の公民権運動、そして現在に到るまでの長い差別の歴史が続きます。


結局のところ、旧世界と衝突した際の社会構造が違っていたことが後々までの歴史に影響を与えていて、また、南北アメリカの歴史はヨーロッパの政治情勢を強く受けていた、ということを感じます。



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