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岡田英弘「中国文明の歴史」 [読書(教養書・実用書)]


中国文明の歴史 (講談社現代新書)

中国文明の歴史 (講談社現代新書)

  • 作者: 岡田 英弘
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/12/18
  • メディア: 新書



河西回廊旅行中のKindle読書。

中国に何度か行っていると、「中国」とは何か、「漢族」とは何かという根本的な疑問が湧いてきます。
単純に、「中国人」が住んでいる国が「中国」でしょう、ということなら簡単ですが、現在の中華人民共和国を考えるならば、明らかに多民族国家です。これは今に始まったことではなく、例えば、古代の唐も多民族国家と言えたかも知れません。

そもそも、「漢族」とは何なのかを考えると、明らかに言語も地域によって異なり(これを「方言」とするのは政治的なもの)、食文化も異なり、背の高さをはじめとする身体的特徴も異なります。これって一つの民族なんでしょうか?



この本は歴史書ということになりますが、こうした疑問にも応える中国論にもなっています。

そもそも「中国」という言葉は首都を示す言葉でしたが、それが拡張され、日本の「支那」に変わる用語となりました。
そもそも「支那」というのはChinaといった西洋の言葉から来ていますが、その言葉は古代の王朝である「秦」から来ています。地球をぐるっと回って「支那」になった訳ですが、この言葉は音はともかく、漢字の意味が良くないので、「中国」の語が用いられるようになりました。

また、「漢族」というのは、少数民族に対してそれ以外といった意味しかなく、「漢字という表意文字の体系を利用するコミュニケーションが通用する範囲」といったような緩い集合体であって、同族意識などというものもつい最近までなかったと言うことになります。

民族的にも、夏はタイ系の人々だった思われますが、その後何度も北方から異民族が侵入し、それらが混じり合った結果が今の漢族になります。

そもそも漢字は表意文字で、いろいろな言語の人達の間の文字による通信手段として使われるようになりました。市場で取引を行うために使われた体系で、それぞれの「民族」の人達は違う言葉を話していたのですが、そのうちこの文字による言語からの借用も多く発生し、今日の、異なる言語だが漢字でコミュニケーションする集団が生まれたということです。

本の途中部分は政治的な支配者の変遷が中心となっていて、読み飛ばしてしまいましたが、現代の中国を見るに際しても、示唆に富む本でした。




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