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平野克己「経済大陸アフリカ」 [読書(教養書・実用書)]


経済大陸アフリカ (中公新書)

経済大陸アフリカ (中公新書)

  • 作者: 平野 克己
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/01/24
  • メディア: 新書





アフリカ大陸は南極大陸と並んでいったことがないところであり、最近興味津々です。
この本は買って置いたまま積ん読になっていましたが、読んでみると読み応えがある本でした。

ジャーナリストが書いた本はいろいろなエピソードが生き生きして面白いですが個別事例に留まりがちで、学者が書いた本はデータが豊富で勉強になりますが、淡々としすぎている感じがします。しかし、この本はその両方のいいとこ取りをしたような感じで、豊富なデータで、今アフリカ大陸で何が起きているのか、迫力を持って語ります。


成長のために資源を必要とする中国は今世紀になってから猛烈にアフリカへの投資を増やしており、日本を抜き去っています。中国をはじめとする資源への投資によって、長らく成長してこなかったアフリカは成長を始めています。

しかし、アフリカの弱みは農業生産にあるというのが著者の見立てで、貧弱な物流で肥料が買えないために無肥料の生産性が低い農業しか行っていないため、食料は輸入が増えて、都市の生活の高コスト化を招く。さらに、農業から余剰な労働力が生まれない。結果的に、アジアと異なり、人件費が高いために工業化が進まないのだそうです。

ちなみに、この肥料を投じる近代農業というのは結構重要で、肥料の原料となるリン鉱石やカリ鉱石の生産地は偏っているため、いくら農産物の国内自給率を高めていても、ここを押さえておかないと危ないのだそうです。なるほど。

世界的な経済格差については、かつて南北問題と呼ばれましたが、アジアが急成長を始めた結果、アフリカが取り残された形になりました。なぜ、アジアは成長して、アフリカは成長しないのかということは開発経済学の大きなテーマになったそうです。

先進国の国際援助はそれを解決するための手段として期待されているものの、実のところ各国がどのような地域に援助をしているかを見てみると、高邁な理念とは全く別の考え方で実施されているのが現状であると言うことも示されます。


中国経済の減速による資源価格の低迷など、この本が書かれた時点と少し状況が変わっているかな、と思う点もありますが、「最近アフリカが成長している」という話を理解するためには最適な本だと思います。





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