今学期の単位認定試験の2科目目。

通常ラジオの科目はテキストの「朗読」になっているので聞かないのですが、本科目はテキストの内容をベースにしながら、毎回ゲストのインタビューがあり、さらには関連した音楽を取り入れて工夫されているので、全回聞きました。

内容としては、いわば二部構成で、前半は宗教の話、後半は日本の領土問題の話となっています。
後半は、別に「一瞬で分かる世界と日本の領土問題」という本を著していたとのことで、その内容に依拠しているとのこと。

まず前半についてはユダヤ教、キリスト教、イスラム教に加え、ゾロアスター教が取り上げられている。
ゾロアスター教が取り上げられているのは担当の高橋和夫教授がペルシャに詳しいということもあると思いますが、この宗教がユダヤ教に先行して生まれた結果、ユダヤ教に強い影響を与えていること、結果としてユダヤ教の影響を受けたキリスト教、イスラム教にも影響を与えていること、仏教にも影響を与えていること、そしてこれから勃興が予測されるインドでゾロアスター教徒が強い影響力を持っていることにあります。

確かにゾロアスター教についてはそもそも今でも信者がいるの?というレベルで日本では知られていないし、私自身信者に会ったことがない。しかし、学んでみるとこれは確かに面白い。

ゾロアスター教の世界観というのは、以下の3点。

(1)世界はアフラ・マズダという善(光)の神と、アーリマンという悪(闇)の悪魔との戦いである。
(2)この戦いは永遠に続くのではなく、最後の審判で終わる。
(3)アフラ・マズダに従った人は天国に行ける。

#ちなみに車のマツダはアフラ・マズダにちなんでいるとのことです。

このアイデアは、ほとんどユダヤ教、キリスト教、イスラム教に引き継がれています。
ユダヤ人はバビロン捕囚によって当地で栄えていたゾロアスター教の影響を受け、旧約聖書もこの後に書かれた部分が多いようです。

さらに、キリスト教の新約聖書で、イエス・キリストが生まれる際の「東方の三博士」とはゾロアスター教の神官を指しています。

このゾロアスター教はペルシャがイスラム教に覆われることによって勢いはなくなってしまうものの、一部のゾロアスター教徒はインドに移住し、「パールシー」(ペルシャから来た語)として独自のコミュニティを作っています。
人数としては少数ですが、タタ・グループ等の財閥を率いているのはこのパールシーです。

日本との関係でいえば、仏像がよく背負っている炎のレリーフは、拝火教とも呼ばれたゾロアスター教の影響を中央アジアで受けた結果だと考えられています。


後半は領土問題。

これはいろいろな考え方や議論があるので、日本だけではなく、相手の主張も正確に理解しようという趣旨。

尖閣諸島、竹島、北方領土、沖ノ鳥島といろいろありますが、先占の議論だけではなく、第二次世界大戦とその後の主権回復の過程でどのように扱われたかという解釈が一つの争点となっています。

靖国問題など戦後処理については最近でもいろいろ議論になっているところですが、日本は敗戦国として戦後を歩み始めたということについて、改めて考えさせられました。