最近個人的に歴史がマイブームですが、世間でも興味を持つ人はいるようで、書店でも歴史書がコーナーを作って平積みにされていたりします。
この本もそうした本の1つで、「東大・早稲田・慶応で文庫ランキング1位」という宣伝になるのかならないのかよくわからない帯が着いています。



世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

  • 作者: ウィリアム・H. マクニール
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫



世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

  • 作者: ウィリアム・H. マクニール
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫




上下巻でそれなりに読み応えはありますが、読んでるときは相当没頭できました。
なにしろ扱っているのが「世界史」なので、ざーっと進んでいく感じで、飽きません。

紀元前500年まで、紀元前500年から後1500年、後は1648年、1789年、1914年、1945年と大まかに歴史を区切って世界がどうなっていたかを記述していますが、それぞれの地域での歴史をばらばらに考えているのではなく、いくつかの中心となる文明があり、それらの間、あるいは文明と周辺の影響という見方でとらえています。また、どうしてそうなったかについても、一つの「解釈」が示されているので、ストーリーがかなりはっきりしているように感じます。

古代もかなりしっかり書かれていて、いくつか大きな世界的なイノベーションが歴史を変えていったことも印象的でした。たとえば、紀元前1500年前には誰かが車輪を発明してそこに乗る戦車というものが現れ、戦車を使う人たちが至る所に侵入していった時代があります。その後も、青銅器よりも資源量が多い鉄器で武装するようになったり、馬に乗る騎馬術が生まれたりすると、力の均衡が変わって歴史が塗り替えられていきます。

文明の話になるとどうしてもユーラシア大陸が中心になりますが、アフリカにも触れられており、また、イスラム圏がなぜ近代に停滞してしまったのかも述べられています。

もちろん、こうした見方が正しいかどうかは分からないのですが、事実だけの歴史よりはずっとおもしろいです。

日本もしばしば登場しており、世界史の観点から見た日本はそう見えるのか、という意味で新鮮です。高度成長の解釈のあたりはちょっとステレオタイプに過ぎるように思いましたが。

「銃・病原菌・鉄」や、先日読んだ「アジアと欧米世界」とも少し似ていてお薦めです。
南北アメリカにとって西欧から持ち込まれた病原菌の影響が決定的だったことにも触れられています。

高校までの世界史の授業も、こうしたざっとした概観があってから勉強するとおもしろいのにね。