習近平の中国 (新潮新書)

  • 作者: 宮本 雄二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/16
  • メディア: 新書



駐中国大使を務めた著者は、中国のことを理解して欲しいという願いから新書という形式でまとめたそうです。

中国と関わりが深い著者は2001年の時点で、共産党の統治は長くは持たないと予測しましたが、結果的には現在でも続いています。その結果として、「中国の変化に共産党の統治能力の向上が追いつかなくなったとき、共産党の統治は終わる」という考え方になったそうです。

共産党は最高実力者の鄧小平が力を持つ体制でしたが、カリスマ亡き後は集団指導体制へと移行し、特に江沢民が退任後に自分の力を残したために胡錦濤は十分に力を発揮することが出来ませんでした。

しかし、胡錦濤の後の習近平は自分への権力の集中を強めています。これは本人の志向だけではなく、今の中国には強いリーダーシップが必要であるという意識が共産党に共有されているからではないかということです。

習近平は反腐敗運動として大物も含めてやり玉に挙げていますが、これはもちろん政敵を追い落とすという権力闘争の面はあるものの、共産党の統治を続けるために組織を変えなければならないという強い意志があるとのこと。

共産党の統治は常にその正統性が問われています。
経済の成長と社会の安定を実現していれば、国民に支持されるという構図でしたが、近頃の中国経済の減速がどのような影響を生むのかが気になります。