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現代世界の結婚と家族 [放送大学]

今日は放送大学の「現代世界の結婚と家族」の単位認定試験でした。

今学期取っている科目は基本的に試験が週末のものを選んでいるのですが、これは平日の夕方だったため、
会社を早く出て学習センターまで行きました。

ちょっと早く着きましたが、ロビーなどで熱心にテキストを読み込んでいる人がいます。

科目の特性?があるのか、この科目を受ける人はざっと見たところ、2/3が女性でした。
先日受験した「現代の国際政治」は論述式だったので、今回は初めてのマークシート式。
知っていることだけ適当?に書けばよい論述式とは違い、知らないと何ともならない選択式の
問題のため、結構まじめに勉強をしていきました。

マークシートに学生番号を記入すると、第40問までマスがあり、50分の試験時間、がんばるぞ、と
思ったのですが、時間になって試験問題を開けてみると・・・10問しかなかった。

とりあえず集中してやりましたが、終わって時間を見ると、10分しか経っていません。
もう一度全部チェックし直したのですが、それでもさらに5分経っただけ。

選択式なので、時間をかけても分からない問題は考えても分かりません。

開始から30分経つと抜けても良いのですが、それまでの15分手持ち無沙汰で困りました。

30分経った時点で大多数の人が帰っていたので、問題は後2倍か3倍あっても良いですよね。


さて。
この「現代世界の結婚と家族」、いつもどうして結婚しないのか聞かれるので理論武装しようかと
思ってとった、というのは半分冗談ですが、予想以上に勉強になる科目でした。

テーマ的に、ショートカットのおばちゃんが出てきて女性がいかに虐げられているかつり目で
論じられたらどうしよう、と心配していたのですが、杞憂でした。
ショートカットの女性の先生は多かったけど。

先生が入れ替わり立ち替わりという形式で、ちょっとどうかなという先生もいましたが、総じて
良かったです。

最初の講義からふんだんに統計や調査結果が盛り込まれて圧倒される感じです。
分析の視点も良いか悪いかというよりも、事実に即して考える、という内容で納得させられました。

家族とか結婚というと非常に個人的なもので、ビジネスや政策には関係ないと思いがちですが、
社会保障制度を例に挙げるまでもなく、非常に社会にとって重要なテーマであることを認識させられました。

勉強になった点は以下の通り。驚きの連続。

■家族
・家族といっても夫婦家族制、直系家族制、複合家族制といろいろ。
・米国では高齢者でも単身世帯が多い。若者は日本や韓国では未婚の場合親と住んでいることが多いが、
スウェーデンでは単身かパートナーと住んでいる。
・日本では子供が小さいときは両親と同じ寝室に寝ることが多いが、フランスでは生後すぐに別の部屋に寝かせるのが45%。根本的に何か違う。
・じゃあ別に住んでいるから関係が疎かというと、近くに住んでいたり、相当頻繁に会ったりしている模様。複雑。

これでは、世帯あたりの収入を国際比較しても訳分からないですよね。
日本でも世帯人員は激減してきています。

■結婚と出産
・先進国ではなかなか結婚しない。でも、同棲が多い。同棲と結婚をあわせると各国あまり変わりないらしい。
・よく知られているように離婚は増えているが、再婚する人も多いので、未だ家族を作るというのは魅力的なもののようだ。
・アメリカは離婚が増えてきたが頭打ちになっている。逆に韓国ではすごく増えている。
・日本でもできちゃった結婚が増えているが、フランスとかスウェーデンとか、半分かそれ以上の子供が結婚しない両親から生まれている。

結婚しないとしてはいけないこと、できないこと、というのがどんどん減っているのが現状。
結局、出生率が未だに高い先進国って、結婚しないで生まれる子供が多い。
出産だけは結婚しないとダメ、とがんばっているのが日本と韓国。その分出生率が低いんでしょうね。

それはけしからん、という議論もあるかと思うが、そもそも日本でも昔は結婚を正式に届けることは
軽視されていていろんなところに子供を作っていた。
国に結婚を届け出してから子供を作りましょう、なんていうのも戦後の考え方に過ぎないとのこと。

■子育てと女性の労働
・これも各国で全然違う。
・子育ては母親、それ以外の家族、家事労働者、公的施設のどれに頼るかの違いがある。
・たとえば中国は公的な施設が発達しているし、働いている父母に変わって祖父母や近所の人が育ててくれる。
・シンガポールや台湾では外国人の家事労働者が手伝ってくれる。
・アメリカも祖父母が結構面倒を見ている。
・フランスは公的支援も充実。最近日本でも話題の就学前教育は無料で、3歳の段階でほぼ100%利用されている。

要はいろんな人が子育てを手伝ってくれる。一方、日本、韓国は母親のみに子育ての負担が集中。
夫も夜遅くまで帰ってこない。

・20~30代にかけて女性の労働力率が下がるいわゆるM字型曲線があるのは日本と韓国くらい。
先進国はとっくにそんなもの無くなっている。アジアでも中国、タイ、シンガポールなどにはない。

女性の社会進出と子育ては相反するのかと思っていましたが、そんなことは無いという事実。
上述の子育て支援の仕組みとも関係します。待機児童が問題になっている日本って・・・。

・スウェーデン、フランスと行った国では、男性と女性で帰宅時間にほとんど差がない。
・日本は女性の労働力率、労働時間は男性よりずっと少ない。

結局、女性はあまり外での労働がきつくないけど、子育ては誰も手伝ってくれないという分業体制。
いろいろ無理が出てきますよ、それじゃあ。失業したり、体をこわしたらどうするんでしょう。
女性の中にも優秀な人がいるわけだから、その才能を活用できないと国力にも関わります。

・子供を持つ世帯の貧困率、日本は高い。特に1人親の世帯になると半分以上貧困というすさまじさ。

結局、夫が働き、妻は専業主婦で子育て、という「標準世帯」に最適化された社会の仕組みという
ことではないでしょうか。

でも、そんな家族、周りにどれだけいますか?いまどき。

標準から外れて、たとえば母子家庭になると悲惨。
扶養控除なんてなくなるし、払わなくて良かった年金も払わされるし、働こうにも夫に扶養されて
給料が安くても良い女性と競合するのでなかなか給料ももらえないってことになります。

■結論は?
家族というのはとても大事。でもその形態は通時的通文化的に一定ではないし、
先進国では多様化している。好きか嫌いかに関わりなく。
そういった変化に社会制度が対応できている国とできていない国があるということでしょうね。
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コメント 6

konishi

Don't think...feel...

頭でっかちはいかんよ。(人のことは言えないが・・・)
by konishi (2009-07-30 06:45) 

akko

・スウェーデン、フランスと行った国では、男性と女性で帰宅時間にほとんど差がない。
・日本は女性の労働力率、労働時間は男性よりずっと少ない。

上記についてですが、根本的に労働時間が日本とヨーロッパ諸国では違うということも問題なのでは?日本人男性は働きすぎだとおもいまーす。つまり、ヨーロッパで帰宅時間に男女間で差がないのは、無理のない就業時間だからということも考えられませんか?
実際、M社のようなところに既婚者の女性が正社員として働いたら、子供は完全に他者にまかせることになり、なんのために子供を生んだのか・・・と私だったら疑問におもってしまいます・・・。
by akko (2009-07-30 09:06) 

ponpon

出生率が高いか低いかは、貞操観念とはあまり関係ないんじゃないでしょうか?

私のサイトで日本の主要都市の年齢別人口グラフ(現在の最新は2009年7月1日現在)を公開していますが、寒い地方では子供があまり産まれず、沖縄・九州など暖かい地域では子供がよく産まれています。

ちなみに、仕事の無い地方から多くの若者が集まる大都市は、出生率が低いです。出生率は赤ん坊の数(分子)と15~49歳の女性人口(分母)の比率で決まるので、若者が多く集まる都会は、計算上、出生率が低くなってしまうのです。
by ponpon (2009-07-30 13:19) 

高谷徹

konishiさん
これで、これから「どうして結婚しないんだ!」と非難されても、
「あなたの言う結婚の定義な何なのだ。」と反論できますよ。
新たな勝ち組としてがんばりましょう。
by 高谷徹 (2009-08-01 21:17) 

高谷徹

akkoさん
全体的に労働時間が長い、言い換えれば生産性が低いということは言えるでしょうね。
加えて、世帯の労働時間は変わらない、という話もあるのですよ。
つまり、「夫が外で働き、妻は専業主婦」という標準モデルに特化したシステムとなっているので、一人で扶養家族分働かなければならない→長時間働く、という構造になっているのですよ。

このことは男性自身がきついだけではなく、働こうとする女性にもとてもやりにくいことになります。
by 高谷徹 (2009-08-01 21:21) 

高谷徹

ponponさん
サイト見ました。すごい力作ですね。
出生率を規定する要因には経済的要因、文化、宗教など様々な要因もあると思います。日本の中でも違いがあるということですね。

さて、日本でも歴史的に見ると戦後ベビーブームになりますが、すぐに減ります。優生保護法、避妊法の普及が理由だと思いますが、嫡出子、庶子(認知された非嫡出子)、私生児(認知されない非嫡出子)の区分で見ると、私生児だけ大きく減っています。
さらに、今でも中絶は年間25万件程度も行われていますね。
こうしてみると、やはり結婚しないと子供が産みにくいというのは制約の1つにはなっていると考えられます。

貞操観念という言葉はどのような意味で使われているのか分からなかったのですが、結婚しない出産を指しているのであれば、これを是とするか非とするかは通時的通文化的に、さらには年代、個人によって異なるものだと思います。

たとえば上述のスウェーデンやフランスでは同棲や同性同士であっても結婚に準じる法的な位置を与えていて、生殖医療を受けることさえ認めている部分もあります。
そもそも半分くらいが結婚しないで生まれてくる子供な訳で、それが彼らの貞操観念になっているというように理解できると思います。

#ところで、沖縄県の年齢別グラフ、団塊世代の上の深い刻みはぎょっとしますね。
by 高谷徹 (2009-08-01 21:48) 

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