杉田 英明「浴場から見たイスラーム文化」 [読書(教養書・実用書)]
溜まった本を読むシリーズ。
イスラーム文化の中でも、浴場に着目した本。
イスラーム文化といいながら、ヨーロッパ、そして最後は日本との関わりにも触れています。
アンダルシアのアルカサルの跡にも浴場らしきものが残されていますし、トルコのハマムは今も有名です。
私もトルコのハマムはいろんな意味で忘れられない体験でした。
いろいろな実際の浴場(跡)も紹介されていますが、先月行ったアッコーの浴場も紹介されています。
そういえば博物館になっていました。
公衆浴場はギリシャで初期段階のものが見られましたが、床下の暖気で暖めるシステムなど、技術的な進歩もあって、ローマ帝国で大きく発展しました。
しかし、キリスト教が普及していくと、風紀が乱れがちな浴場への風当たりは強まり、ゲルマン人の侵入でインフラが破壊されたりして、下火になって行ってしまいます。
東ローマ帝国ではかろうじてそうした文化が残っていきますが、イスラム世界に伝わっていって、発展します。
いくつもの室に分かれ、三助がいてあかすりを行い、脱毛を行ったり、瀉血を行ったりする人もいました。
イスラムの浴場では男女が場所や時間で分けられており、腰布をまとって入ったようです。
そして、ひげは伸ばすものの、体毛は剃っていたようです。
このあたり、女性は全員裸で入っていたりといろいろだったようですが。
ヨーロッパにもこのイスラム文化の浴場が逆輸入されたりするのですが、結局根付かなかったようです。
最後に日本との関わりについて。
日本では昔から公衆浴場が発達していて、男女混浴だったことは知られています。
そういった文化はヨーロッパ人にとっても、イスラムから見てもびっくりだったわけです。
一方、日本からイスラム世界を訪れた人は浴場で大喜びするわけですが、裸のまま入ろうとして大騒ぎになったりということがあったようです。
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