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新約聖書 [読書(教養書・実用書)]


新約聖書 1 (文春新書 774)

新約聖書 1 (文春新書 774)

  • 作者: 佐藤優・解説
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/10/19
  • メディア: 新書

新約聖書 2 (文春新書)

新約聖書 2 (文春新書)

  • 作者: 佐藤 優・解説
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/11/17
  • メディア: 新書



以前に放送大学で「西洋美術の基礎知識(新約聖書)」という面接授業を履修した際に、新約聖書の福音書を読んだのですが、
http://t-takaya.blog.so-net.ne.jp/2012-11-12

ようやくいまごろになって新約聖書を読み終わりました。
非キリスト教徒の私にとっては、おもしろいと言うより不思議な本ですね。
キリスト教がどのように成立したかの雰囲気が感じられます。
この本は非キリスト教徒のための新約聖書とされていて、あの元外交官の佐藤優が解説しています。

聖書の前半は、イエス・キリストの一生を描いた福音書です。
ただ、福音書というのは一つではなく、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネと4つもあり、それぞれ同じイエス・キリストの一生を描いているはずですが、細部は微妙に異なります。なぜ一つにまとめなかったのか不思議です。
いずれにせよ、西洋の宗教画に描かれる場面が次々と出てくるので、どこかで聞いたようなシーンや言葉がたくさん出てきます。

イエス・キリストの話はたとえ話や逆説が多く、「しかし、私は言っておく」といった独特の言い回しがあって、いろいろ解釈のできそうなストーリーとなっています。

一般のイメージと違って、イエスの母のマリアなんてほとんど出てきません。今のカトリックやプロテスタントの姿というのは、いろいろな要素や解釈が入った姿であろうことが感じられます。



福音書ではイエス・キリストが死んで(復活して)終わってしまいますが、その後に続くのが使徒言行録。
イエス・キリストの弟子達の活躍を描くストーリーで、これも結構おもしろい。

イエス・キリストは人々に受け入れられずに処刑されてしまった一人の宗教家なわけですが、これを意味づけてキリスト教というものを作り出したストーリーと言って良いと思います。キリストが神聖視され、それを信じることが重要だと言うことにされるのですが、それをキリスト自身が語るわけには行かないので、福音書では寡黙だった神が雄弁となり、弟子達に「語って」その意志を伝えています。

ここでパウロという人物が現れます。彼はイエス・キリストに会ったこともない人物でキリスト教徒を迫害する立場でしたが、神の声を聞いてキリスト教の中心人物になります。それどころか、死んでしまったイエス・キリストを神聖視して信じるキリスト教という形を作ったのは彼のようです。

ユダヤ人には相変わらず広がらないキリスト教が外国人に受け入れられはじめてしまい、世界宗教となっていく様子もうかがえます。


そして続くのが書簡集。
「ローマ信徒への手紙」とか手紙形式の文章が続くのですが、ここは説教のようなもので、キリスト教を信じなさい、間違ったことを言う人を信じてはなりません、迫害されても耐えるのです、といったことが延々と書いてあり、キリスト教徒でない人にとってはかなり退屈で投げ出しそうになります。

ただし、当時キリスト教徒がどのような立場にあったのかがうかがえますし、当時は「終末」が今すぐにでも来そうな言い方で恐怖心をあおって布教していたように見えます。


最後はヨハネの黙示録。
凄惨な世の終末を描いているような文章ですが、7つの天使が、7つのラッパがといった調子で、さっぱり意味が分からない不思議な文章です。


まあ、誰にでも勧める本とは言えないですが、福音書、使徒言行録あたりを読むのは、現在のキリスト教からイメージされる内容とちょっと違う世界を感じられて、キリスト教徒以外にもおもしろいかも知れません。
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