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西洋哲学の誕生 [放送大学]

さて、それで最後の試験科目は「西洋哲学の誕生」。
これは「日本の古代」の直後に試験だったので、正直に言うとかなり一夜漬けになってしまって消化不良だった。

哲学系の科目はいくつかとってきたけど、これが一番内容も試験も難しかった。

この科目は古代のギリシャ哲学、旧約新約聖書に示されるヘブライズム、そして両者が混淆したキリスト教思想という3つの部分から構成されている。

古代のギリシャ哲学はこれまでの科目と同じで、タレスとかヘラクレイトスとかソクラテス、プラトン、アリストテレスといった内容。ソクラテスこそ多くのページが割かれているけど、どうしてもいろいろな人が言ったことをざっと並べる感じになってしまう。
というか、これまでの科目でも何度も出てきているけど、未だにプラトンのいう「イデア」って何かよくわからない。

ギリシャ哲学単独で見るのではなく、こうして西洋哲学として並べて考えるとき、今残されているギリシャ哲学って、キリスト教世界の時代を通り抜けてきたものだけが残っているんですよね。
そもそもギリシャ哲学は多神教の環境下で出来たものだから、西洋哲学として統合されるためには何らかの手続が必要だったはず。

次のヘブライイズム。これはとてもおもしろかった。
旧約聖書と新約聖書を哲学的な視点から見るというもので、あれもこれもと欲張るのではなく、テーマを絞って論じているのでよくわかった、・・・といっても通信課題の添削では「咀嚼しきれていないようです」というコメントをもらってしまったが・・・orz

旧約聖書で取りあげられているのはイサク献供物語。年取ってようやく息子イサクを授かったアブラハムに、神からイサクを神へ捧げよという試練が与えられる。そして旅に出て、まさにイサクに手を掛けようとしたそのときに、天使がストップをかける、というお話。

これ、アブラハムはそもそも息子に手を掛けるべきか、神の命に従うべきか、ということに加えて、何で神はそんなことを命じるのだ、最後に止めるくらいなんだから、といろいろな議論を惹起する題材。

新約聖書はキリストの贖罪の議論。
人々の身代わりになったというと美しいが、キリスト自身は神に見捨てられたという絶望の中で死んだはずで、その死をどう考えるかという残された弟子達の解釈で現在の贖罪の理論が成立している。ただし、その考え自体はキリストの生前の思想と平仄が合っているのだろうという論。

そして3つ目の部分はキリスト教思想。
中世、キリスト教というとどうしても宗教的なストーリーを前提にした形式的なものと思ってしまうが、どうしてどうして教父達の思索は、かなり哲学的。神様はいるのです、ということではなく、絶対的な神は相対的に人に相対する存在ではなく、内面的な存在というとらえ方をしているようで、その中で善とは何か、徳とは何かを突き詰めている。
アウグスティヌスの過去、現在、未来と続く時間に関する「時間とは精神の拡がり」という定義は、認識論から実証的自然科学へと進む発射台のようにも感じる。

しかし、この最後の部分はひたすら人とその人の言ったことが詰め込まれているという感もある。

あと、全体を通してキリスト教思想と行っても、西ヨーロッパというのではなく、もっと東や南に広がっていて、オリエントの要素も混じっているよう。

同じような広い視野で、東洋思想、仏教思想をとりあげた科目があるとおもしろいんだけど。

ちなみに試験は科目が出来て初年度の試験と言うことでハードル高め。
教科書持ち込みで最初は選択式というのは良いが、その後に「600字以内」の記述が2問もある。
なんとか終了20秒前に終わりにしたけど、最後の問題は時間がなくて、設問への回答というより、思ったことを好き勝手に書いてしまった(爆)
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コメント 2

konishi

どういう基準で科目を選択しているのだろうか・・・

哲学の学問的意味みたいなのを考えたときに、何か自分が物事を考えるときのきっかけにはなると思うが、誰が何を言ったか・・・みたいなところはどうでもいいのかなぁ。。などと思ったりもする。(もちろん背景を理解することは重要だと思うのですが・・・)
by konishi (2011-01-31 12:34) 

高谷徹

ということで、仕事と関係ない、現実逃避ですよ。
by 高谷徹 (2011-02-01 01:52) 

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